“さらば愛しの
我が電子レンジ!13年間お疲れ様!
俺と共に東京に出てきた13年前。初めての経堂での一人暮らし。
Iwataniというよく分からない出身のお前は、一人きりで東京に出てきた俺の支えだった。
人生初の専用家電にワクワクした。金もなく学校帰りにスーパーで安くなったおかずを、容器が歪むまで暖めてくれたな。
冷凍しておいたご飯や、母が送ってくれたおかずも食器が持てないくらいアツアツにしてくれた。俺は好きだぜ。その情熱。
妹と二人暮らしを埼玉の志木で始めた時、まだまだお前は現役だった。
1ルームだった東京の家から、ちゃんとしたダイニングキッチンのある部屋になって
一人暮らしサイズのお前にはちょっと寂しかったかな。妹の暖めたものがずっと入りっぱなしだったり、扉開けっ放しだったり・・・
迷惑かけたな。すまん。そんな妹も今では一児の母になったんだぜ。
時間が経つのって早いよな。
そしてまた1ルームの部屋。中板橋。
この時期はお前が一番輝いてた。古い機種にしてトースト機能を兼ね備えていたお前には、本当にお世話になったよ。
毎日毎日変わり映えのしない、食パンにマヨネーズ塗ったやつばっかりでごめんな。
でも、トーストするだけでだいぶ違うんだ。
たまにハムなんかのせた時は、お前はりきっちゃってさ。
ミミ真っ黒になったりしたよな!おかげで俺は辛い時期を乗り越えられた。
今では笑い話にしてるよ。
次にきたのが今の町。大山。時代の移り変わりで、低価格でもボリュームのある弁当が増えた。
サイズが全然合わなくて、回転式のお前は必死になって回そうとしてたよな。
それでも俺は無理を強いた。そしていつしかお前は、暖めるのをやめた。
スイッチを押してもライトがついてターンテーブルが回るだけになった。俺の無理から開放されたように、お前は無音で回り続けた。
スポットライトが当たったバレリーナのように・・・
お前はただひたすら回り続けた。
13年は長い。
俺が東京に出てきた時に生まれた子供は、もう中学1年生になる。
そんな長い間、俺と共に歩んできた電子レンジ。明日は頼んでおいた、区の粗大ゴミ回収日だ。
今まで本当にありがとう。
13年、いろんな俺を見てきたろうな。
どうだ?俺は変わったか?
大人になったかな?
これでいいのかな?
わかんねーかわかんねーよな
お前は全く変わってねーよ。
変わらず、俺を支えてくれたよ。変わることが全てじゃない。
変わらず自分であり続けること。”
今まで本当にありがとう